多品種小ロットのグッズ制作|種類を増やしても管理が崩れない進め方

Tシャツを3色、パーカーを2色、キャップとトートバッグも少しずつ。気がつけば、グッズの種類がどんどん増えていく。

ブランドやチームの物販が軌道に乗ってくると、「もっと選べるようにしたい」という声が必ず出てきます。一方で、1種類あたりの数は多くない。これが、いわゆる多品種小ロットの状態です。

在庫をたくさん抱えずに品ぞろえを広げられるのは、大きな魅力です。ただ、種類が増えるほど、仕様の管理や発注の手間も増えていきます。

「作ることより管理が大変」。私たちがご相談を受ける中でも、よく聞く言葉です。この記事では、多品種小ロットのメリットと、種類を増やしても管理が崩れない進め方をまとめました。

多品種小ロットとは?

多品種小ロットとは、たくさんの種類の商品を、それぞれ少ない数量で作る生産のやり方です。1種類を大量に作る「少品種大量生産」の反対にあたります。

少品種大量との違い

同じ200個を作る場合でも、作り方によって中身はまったく違います。

比べる項目 少品種大量 多品種小ロット
作り方の例 Tシャツ1種類を200枚 Tシャツ・パーカー・キャップなど5種類を40個ずつ
1個あたりの単価 下げやすい 上がりやすい
品ぞろえ 少ない 多い
売れ残りのリスク 1種類に集中する 分散しやすい
管理の手間 少ない 多い

どちらが正解ということではなく、売り方や目的に合わせて選ぶものです。

どんな場面で多品種小ロットになる?

多品種小ロットになりやすいのは、こんな場面です。

  • アパレルブランド 季節ごとに新作を出し、サイズ・カラー展開もある
  • スポーツチーム 選手用、スタッフ用、応援グッズと用途が分かれる
  • 企業のユニフォーム 部署や店舗ごとに仕様が少しずつ違う
  • クリエイター物販 イラストごとにグッズを作り、アイテムの種類も多い

共通しているのは、「全員に同じものを」ではなく「それぞれに合ったものを」という考え方です。

サイズとカラーも「品種」になる

見落としがちなのが、サイズとカラーの組み合わせです。

Tシャツ1種類でも、5サイズ×3色なら15通り。管理の上では15品種と同じです。アイテムの種類が少なくても、サイズやカラーを広げると、実質的には多品種になっています。

「うちはそんなに種類がないから」と思っていても、組み合わせで数えると意外に多い。まずは自分の商品を組み合わせで数え直してみると、管理の大変さの正体が見えてきます。

多品種小ロットのメリット

最大のメリットは、在庫を大きく抱えずに品ぞろえを広げられることです。お客様の選ぶ楽しさが増え、売れ筋を見つけやすくなります。

選ぶ楽しさが増える

選択肢が多いと、お客様は「自分に合うもの」を見つけやすくなります。色違いで2枚買う、Tシャツとキャップをセットで買う、といった買い方も生まれます。

とくにファン向けの物販では、「どれにしようか選ぶ時間」そのものが楽しみになります。

企業のユニフォームでも同じです。職種や季節に合わせて半袖・長袖・ポロシャツを選べるようにすると、着る人の満足度が上がります。「着たくなる制服」は、結果的に長く大切に使われます。

売れ筋を見つけやすい

少しずつ多くの種類を作ると、どれが売れてどれが売れないかがはっきり見えてきます。

売れた種類は次回の数量を増やし、動きの鈍い種類は入れ替える。小さく試して、データで判断するサイクルが回しやすくなります。

最初から1種類に絞って大量に作ると、その1種類が外れたときの逃げ場がありません。多品種小ロットは、リスクを分散させながら当たりを探す方法でもあります。

受注生産と組み合わせやすい

多品種小ロットは、受注生産との相性がとてもいい作り方です。注文が入った種類・サイズ・カラーだけを作ればいいので、品ぞろえを広げても在庫は増えません。

「全色・全サイズを在庫で持つのは無理だけど、受注生産なら並べられる」。そう考えると、品ぞろえの幅はぐっと広がります。

多品種小ロットの注意点は?

注意したいのは、1個あたりの単価が上がりやすいことと、管理の手間が増えることです。とくに管理の手間は、種類が増えるほど急に重くなります。

1個あたりの単価が上がりやすい

種類ごとに版代やデータ作成費がかかる加工では、種類が増えるほど初期費用も増えます。同じ200個でも、5種類に分けると1種類あたり40個。数量が少ないぶん、1個あたりの負担は大きくなります。

単価を抑えたい場合は、版のいらない加工を選ぶ、デザインを複数のアイテムで共通にする、といった工夫が効きます。

もうひとつの考え方は、1個あたりの単価ではなく、売れ残りを含めた全体のコストで比べることです。1種類を200個作って80個残るより、5種類を40個ずつ作って全部売り切るほうが、結果として手元に残るお金は多いかもしれません。

仕様の管理が複雑になる

種類が増えると、「このTシャツのプリント位置は何センチだったか」「このキャップの刺繍糸は何番だったか」といった情報も増えていきます。

仕様がメールや担当者の記憶にしか残っていないと、追加発注のたびに確認が発生し、ミスも起きやすくなります。

担当者が替わったときに、誰も前回の仕様がわからない。これは多品種小ロットで本当によく起きることです。運用の課題はウェア・グッズ販売の運用が回らなくなる5つの理由でも詳しく扱っています。

発注先が増えると手間も増える

Tシャツはこの工場、キャップはあの工場、ステッカーは別の会社。アイテムごとに発注先が分かれると、見積もり、入稿、納期の管理がすべて倍になります。

発注先ごとに納品日がずれると、商品が全部そろうまで販売を始められない、ということも起こります。

品質の基準がそろわないのも、発注先が分かれることの弱点です。同じロゴでも、工場によって色味や位置が微妙に違って見えることがあります。ブランドとして統一感を出したいなら、できるだけ同じ工場でそろえたほうが安心です。

管理が崩れない進め方

仕様を一か所にまとめて記録し、発注先はできるだけ集約します。そのうえで、種類ごとに「定番」と「限定」を分けておくと、管理の優先順位がはっきりします。

仕様を一か所にまとめて記録する

アイテムごとに、ボディの型番・カラー・サイズ、加工方法、位置、色番号をひとつの表にまとめます。

  • ボディ ブランド名、型番、カラー名
  • 加工 方式、位置(襟から何センチなど)、サイズ
  • 色 インクや刺繍糸の色番号
  • データ 入稿データのファイル名と保存場所

「この表を見れば誰でも同じものを発注できる」状態が目標です。担当者が替わっても、追加発注が止まりません。

発注先をできるだけまとめる

プリントも刺繍も、ウェアも小物も、ひとつの工場で対応できれば、窓口が一本になります。見積もりも納品もまとめて進められるので、管理の手間が大きく減ります。

アイテムの幅を広げたいときは、依頼先がどこまで対応しているかを先に確認しておきましょう。作れるアイテムの一覧はオリジナルグッズの種類一覧が参考になります。

「定番」と「限定」を分けて考える

すべての種類を同じように管理しようとすると、手が回らなくなります。

いつでも売る定番は、仕様を固定して、追加生産の手順を決めておく。季節や記念の限定品は、その回だけの仕様として別に記録する。

定番は「崩さない」、限定は「使い切る」と役割を分けると、管理の負担がぐっと軽くなります。

定番の追加生産を楽にする準備はグッズの再販・追加生産の進め方で紹介しています。

発注をまとめて効率よく進めるには?

発注のタイミングをそろえ、デザインや加工を共通化することで、多品種でも効率よく進められます。拠点や店舗が複数ある場合は、発送先ごとの仕分けまで含めて考えます。

発注のタイミングをそろえる

アイテムごとにバラバラに発注すると、そのたびに見積もりと確認が発生します。月に1回、シーズンに1回など、発注日を決めてまとめると、やりとりの回数が減ります。

受注生産なら、受付期間をアイテム共通にしておくと、締切後にまとめて発注できます。

発注日が決まっていると、工場側も製造の段取りを組みやすくなります。毎月決まったタイミングでの発注は、納期の安定にもつながります。

デザインや加工を共通化する

同じロゴを、Tシャツにもパーカーにもトートバッグにも使う。こうした共通化は、データ作成の手間と費用を抑えるのに効果的です。

刺繍なら、同じ刺繍データを複数のアイテムに使い回せることがあります。アイテムは増やしても、デザインの元データは増やさない。これが多品種小ロットでコストを抑えるコツです。

見積もりの比べ方は見積もり比較のコツで紹介しています。

複数拠点への発送もまとめて考える

店舗やチームが複数ある場合、発送先ごとの仕分けも大きな手間になります。本部で一度受け取って仕分け直すと、そのぶん日数も人手もかかります。

工場から各拠点へ直接届けられれば、この手間はなくなります。多店舗での発注の仕組みは多店舗展開のユニフォーム発注を仕組み化する方法にまとめました。

まとめ|種類を増やす前に、管理の仕組みを決める

多品種小ロットは、在庫を大きく抱えずに品ぞろえを広げられる作り方です。売れ筋を見つけやすく、受注生産とも組み合わせやすいのが魅力です。

その一方で、種類が増えるほど仕様の管理と発注の手間が重くなります。仕様を一か所に記録する、発注先をまとめる、定番と限定を分ける。この3つを先に決めておけば、種類を増やしても管理は崩れません。

BESTPLAYでは、ウェアから小物まで、プリント・刺繍などの加工をまとめてご相談いただけます。加工データや仕様は自社システム「BPNAVI」で保管し、追加生産や配送先別の仕分けにも対応しています。加工の選択肢は対応可能加工に掲載しています。アイテムや拠点が多い案件の進め方は、お問い合わせで「まずは情報収集がしたい」を選んでご相談ください(2営業日以内に返信)。

BESTPLAY

この記事の監修

有限会社BESTPLAY

1978年創業。マーキング加工のプロフェッショナルとして、シルクスクリーン印刷・刺繍・DTF・インクジェットなど多彩なプリント技法で、スポーツウェア・イベントグッズ・オリジナル商品の制作を手がけています。

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