店舗が10を超えたあたりから、ユニフォームの発注対応が本部の負担として表面化してきます。
新規出店のたびに一式を手配し、既存店からは「Lサイズを3枚追加で」という連絡が入る。1件ずつは小さな作業でも、店舗数に比例して件数が増えるので、担当者の時間が確実に削られていきます。
この記事では、多店舗展開でユニフォーム調達がなぜ重くなるのか、そしてどう仕組み化すれば工数を抑えられるのかを整理します。
なぜ店舗が増えると発注対応が重くなる?
件数が増えるからではなく、1件ごとに本部が仲介しているからです。窓口が本部に集中する構造そのものが原因になります。
分解すると3つの負担に分かれます。
連絡の往復が積み上がる
店舗から本部へ依頼が来て、本部が発注先に伝え、見積もりが戻り、店舗に確認し、また発注先へ。1件あたり4往復から5往復のやりとりが発生します。
1枚の追加発注でも、10枚の新規出店でも、この往復の回数はあまり変わりません。件数が増えるほど、金額に見合わない対応工数が積み上がっていきます。
しかも、この対応は担当者の通常業務に上乗せされます。専任を置くほどの量ではないけれど、無視できる量でもない。この中途半端さが、後回しにされやすい理由でもあります。
仕様の確認に時間がかかる
「前回と同じもの」と言われても、前回が何だったかを調べる必要があります。ボディの品番、ロゴの位置とサイズ、糸の色。
記録が担当者の記憶やメールの履歴に散っていると、そのたびに探すことになります。担当者が交代すると、この情報が失われる点も問題です。
引き継ぎ資料に品番まで書かれていることは、実際にはあまりありません。結果として、新しい担当者が過去の納品物を実際に見て確認する、という作業が発生します。
配送の手配が別に発生する
本部に一括納品してから各店舗へ再発送する運用だと、仕分けと再梱包の作業が丸ごと本部の仕事になります。
サイズ展開があるとさらに面倒です。どの店舗に何サイズを何枚送るか、という仕分けが毎回必要になります。
送料も二重にかかります。発注先から本部へ、本部から各店舗へ。直送に切り替えるだけで、この分がまるごと不要になるケースもあります。
発注の窓口をどこに置くか
店舗が直接発注できる形にすると、本部の仲介が不要になります。これが工数を減らす最も効果の大きい変更点です。
ただし、そのまま開放すると別の問題が出ます。
本部経由をやめると何が変わるか
店舗の担当者が直接発注できれば、連絡の往復がなくなります。本部は承認や実績の確認だけを担えばよくなる。
現場から見ても、必要なときにすぐ頼めるほうが早い。欠員補充で急に必要になったとき、本部の営業日を待たなくて済むのは現場にとって大きな差です。
本部が把握できなくなるのでは、という懸念もあるかと思います。発注履歴が一元で見られる仕組みであれば、事後の確認で足ります。事前承認をやめても、実績の把握は維持できます。
自由に発注させると起きる問題
一方で、完全に開放すると仕様がばらつきます。店舗ごとに違うボディを選んだり、ロゴのサイズが変わったりする。
チェーンとしての統一感が崩れると、そもそもユニフォームを揃える意味が薄れます。ここをどう制御するかが設計のポイントです。
予算面の問題もあります。店舗の裁量で自由に発注できると、想定より高いアイテムが選ばれることがある。品目と価格の両方を、あらかじめ枠として決めておく必要があります。
選べる範囲を絞った発注環境
解決策は、あらかじめ承認済みの品目だけを並べた発注環境を用意することです。店舗はその中から選ぶだけなので、仕様がぶれません。
BESTPLAYでは、登録済みのクライアント向けにクローズドEC「BP Navi」を用意しています。本部が承認したアイテムのみを掲載し、各店舗から直接発注して現場へ直送する運用に対応しています。
仕様の管理はどうする?
発注先にデータを預けて保管してもらう形が現実的です。本部側で管理し続けるより、担当者の交代に強くなります。
保管しておくべき情報を整理します。
記録すべき3つの情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ボディ | ブランド名・品番・色・サイズ展開 |
| 加工 | 方法(刺繍・プリント)・位置・寸法・色指定 |
| データ | ロゴの入稿データ、刺繍の場合は変換済みデータ |
この3点が揃っていれば、「前回と同じもの」が正確に再現できます。データ形式については入稿データの作り方にまとめました。
廃番に備えておく
長く使っていると、ボディの品番が廃番になることがあります。同じものが作れなくなると、店舗間で見た目が変わってしまう。
廃番時に近い代替品を提案してもらえるか、事前に確認しておくと安心です。切り替えのタイミングを本部で管理できれば、全店舗を一斉に更新する判断もしやすくなります。
廃番の連絡が来るかどうかも確認しておきましょう。何も知らされないまま在庫限りで終わると、次の出店で急に選び直すことになります。
店舗ごとの差異を許容する範囲を決める
地域限定店やコンセプト店では、あえて仕様を変えることもあります。
このとき、どこまでの差異を許容するかを先に決めておくと管理が破綻しません。ロゴは共通、色だけ変更可、といった線引きをしておく形です。
例外を認めるほど管理は複雑になります。特別扱いが増えると、結局は1件ずつ確認する昔の運用に戻ってしまう。線引きは最初にきつめに引いておくほうが、後で緩める余地が残ります。
出店ペースに合わせた発注はできる?
小ロット対応の発注先を選べば、1店舗ずつの出店に合わせて作れます。まとめ買いで在庫を抱える必要はありません。
考え方を整理します。
まとめ買いと都度発注の比較
| まとめ買い | 都度発注 | |
|---|---|---|
| 単価 | 安く抑えやすい | やや高くなる |
| 在庫 | 本部で保管が必要 | 不要 |
| 仕様変更 | 在庫を使い切るまで困難 | 随時対応できる |
| 廃棄リスク | サイズ偏りで発生 | ほぼなし |
出店ペースが読めない段階では、都度発注のほうが結果的に無駄が出にくくなります。コストの考え方はグッズのコスト管理と見積もり比較も参考になります。
出店計画が固まっている場合は、その分だけまとめて作る折衷案もあります。年内に3店舗出すと決まっているなら、3店舗分を一度に手配して単価を下げる形です。
小ロットでも単価が跳ねない方式を選ぶ
版を使う加工は、枚数が少ないと単価が上がります。1店舗分の10枚から30枚で発注する前提なら、版を使わない方式のほうが向いています。
DTFプリントやカッティング転写は、少数でも単価が安定します。刺繍は1着あたりの加工費が固定でかかるため、こちらも小ロット向きです。方式ごとの特性はプリント手法の比較ガイドを参照してください。
開店日から逆算する
出店のたびに、内装工事や什器の搬入と並行してユニフォームも手配することになります。
開店1か月前の発注を基本に、在庫のあるボディを使えば短納期にも対応できます。ただし、新しいロゴやボディを使う初回だけは余裕を見てください。
2店舗目以降は、初回に作ったデータをそのまま使えます。初回さえ通しておけば、以降の出店は発注から納品までの日数が読める状態になります。
品質のばらつきを防ぐには
同じ発注先に集約し、生産の履歴を残すことが基本になります。店舗ごとに別の業者を使うと、必ず差が出ます。
確認しておく点を挙げます。
同じ品番でもロットで色が変わる
生地は生産ロットによって、わずかに色味が違うことがあります。並べて着ると分かる程度ですが、店舗によって色が違うと気になるもの。
一斉に更新するタイミングでまとめて確保しておくと、この差が出にくくなります。
気になる度合いは店舗の業態によって変わります。スタッフが並んで立つ業態ほど差が見えやすいので、その場合はロットを揃える優先度が上がります。
加工の精度を揃える
同じロゴでも、加工する工場が違えば仕上がりに差が出ます。刺繍なら糸の密度や縫い順、プリントなら色の出方。
工程を内製している発注先なら、この差が出にくくなります。BESTPLAYは京都の自社工場で刺繍・シルクプリント・DTF・昇華転写などの加工を内製しており、店舗をまたいでも同じ設定で生産できます。
検品の基準を共有する
何をもって不良とするかを、本部と発注先で揃えておく必要があります。糸のほつれ、プリントのかすれ、寸法の誤差。
基準が曖昧だと、店舗から本部への問い合わせが増えます。最初に取り決めておくと、後の対応が減ります。
不良が出たときの交換手順も、あわせて決めておいてください。店舗から直接連絡してよいのか、本部を通すのか。ここが決まっていないと、結局は本部に問い合わせが集まります。
まとめ
多店舗のユニフォーム発注が重くなるのは、件数の多さより本部が1件ずつ仲介する構造に原因があります。店舗が直接発注できる形にすると、連絡の往復がまるごとなくなります。
ただし完全に開放すると仕様がばらつくため、本部が承認した品目だけを選べる環境にするのが現実的です。仕様は発注先にデータごと預けて保管してもらうと、担当者が代わっても再現できます。
出店ペースに合わせるなら、小ロットでも単価が跳ねない方式を選び、都度発注で在庫を持たない形が無駄になりにくい。品質を揃えたいなら、加工を内製している発注先に集約するのが確実です。
BESTPLAYは京都の自社工場で加工を内製し、10枚から100枚程度の小ロットを国内生産で対応しています。クローズドEC「BP Navi」により、各店舗から直接発注して現場へ直送する運用にも対応可能です。加工の種類と保有設備は対応可能加工に掲載しています。
出店ペースに合わせた供給体制や、加盟店からの発注導線についても相談を受け付けています。お問い合わせの種別には「まずは情報収集がしたい」もあるので、切り替えの検討段階でも構いません(2営業日以内に返信)。
