自分のブランドを作ってみたい。イラストやロゴを、Tシャツやパーカーにして届けたい。そう考えたとき、真っ先に不安になるのが「最初にどれだけ作ればいいのか」ではないでしょうか。
服作りと聞くと、生地から型紙を起こして、何百枚単位で工場に頼むイメージがあるかもしれません。もちろんそういう作り方もあります。ただ、それだけがブランドの始め方ではありません。
いまは、既製のボディ(無地のウェア)にプリントや刺繍を施す方法で、数十枚から始めるブランドがたくさんあります。受注生産と組み合わせれば、在庫をほとんど持たずにスタートすることもできます。
この記事では、小ロットでアパレルブランドを立ち上げるための考え方と手順を、ボディ選びから販売方法までまとめました。
小ロットでもアパレルブランドは始められる?
始められます。既製のボディにプリントや刺繍で加工する方法なら、数十枚程度から作れます。受注生産にすれば、在庫をほぼ持たずに販売を始めることもできます。
ボディ加工とフルオーダーの違い
アパレルの作り方は、大きく2つに分かれます。
| 比べる項目 | ボディ加工 | フルオーダー(生地から作る) |
|---|---|---|
| 作り方 | 既製の無地ウェアにプリント・刺繍 | 生地選び・型紙・縫製から作る |
| 始めやすい数量 | 1枚〜数十枚 | 数百枚単位になることが多い |
| 期間の目安 | 2週間前後 | 数か月かかることもある |
| 自由度 | デザインと加工で差をつける | シルエットや素材まで自由に決められる |
最初の一歩としては、ボディ加工のほうが圧倒的にハードルが低い方法です。
ボディ加工で使う無地のウェアは、アパレル用として流通している定番品です。サイズ展開や品質が安定していて、追加で同じものを手に入れやすいのも利点。ブランドを続けていくうえで、「前と同じボディがもう手に入らない」という心配が少ないのは心強いポイントです。
ボディ加工でも個性は出せる
「既製のボディだと、ほかのブランドと同じになってしまうのでは」という声もよく聞きます。
けれど、同じボディでも、デザイン、加工方法、プリントの位置、ボディカラーの組み合わせで印象はまったく変わります。差がつくのはボディそのものより、何をどう載せるかです。
たとえば、胸元に小さく刺繍を入れて背中に大きくプリントする。袖にワンポイントを足す。こうした組み合わせの工夫が、ブランドらしさになっていきます。
大きくするのは、売れてからでいい
最初からフルオーダーで作ると、数百枚単位の在庫を抱えることになります。売れなかったときのダメージは大きく、2回目に挑戦する余力が残らないことも。
まずはボディ加工の小ロットで始めて、手応えがつかめたら規模を広げる。
立ち上げ前に決めておくこと
ブランドのコンセプト、届けたい相手、価格帯の3つを先に決めます。ここが決まると、ボディや加工の選び方に迷わなくなります。
コンセプトと届けたい相手
「どんな人に、どんな場面で着てほしいか」。これを一文で言えるようにしておきます。
普段使いのシンプルな服なのか、イベントで着る推し活ウェアなのか、スポーツの練習着なのか。場面が決まれば、選ぶボディの厚みや素材も自然と決まってきます。
コンセプトは、販売ページの文章やSNSの発信にも使います。最初にしっかり言葉にしておくと、あとがぶれません。
ブランドのロゴやタグも、この段階で方向性を決めておくと統一感が出ます。首元のプリントネームや、裾の小さな織りネームのような細部は、既製ボディでも「ブランドの服」らしさを高めてくれる要素です。
価格帯を決めておく
販売価格は、ボディと加工を選ぶ前に「だいたいこのくらい」と決めておきます。
価格帯が決まっていれば、そこから逆算して、使えるボディのグレードや加工の範囲が見えてきます。反対に、先に理想のボディと加工を選ぶと、原価が高くなりすぎて価格が合わない、ということが起こりがちです。
原価の積み上げ方はグッズの原価と値付けの基本で詳しく解説しています。
権利と表示の確認
オリジナルのデザインでも、既存のキャラクターやロゴに似ていないか、フォントのライセンスは商用利用できるか、といった確認は必要です。
ブランド名を長く使うなら、商標の確認もしておくと安心です。制度の概要は特許庁の商標制度のページで確認できます。販売ページに必要な表示はオリジナルグッズ販売の注意点にまとめました。
ボディと加工はどう選ぶ?
ボディはコンセプトと価格帯に合う厚み・シルエットで選び、加工は数量とデザインの色数で決めます。候補を2〜3点に絞ってから、実物で比べるのがおすすめです。
ボディは厚みとシルエットで選ぶ
Tシャツなら、生地の厚み(オンス)とシルエットで印象が大きく変わります。
- 厚手(ヘビーウェイト) しっかりした着心地で、1枚で着ても様になる
- 標準〜薄手 価格を抑えやすく、重ね着やスポーツ用途にも向く
- ビッグシルエット トレンド感を出しやすいが、サイズ表の説明が大切になる
素材ごとの違いはオリジナルTシャツ素材の完全ガイドで詳しく比べています。
加工は数量と色数で決める
加工方法は、作る数量とデザインの色数で向き不向きが変わります。
数十枚程度でフルカラーのデザインなら、版のいらないDTFプリントが向いています。数百枚規模で色数が少ないなら、シルクスクリーンのほうが1枚あたりを抑えやすい。ロゴを上品に見せたいなら刺繍、という選び方です。
小ロットでのフルカラー加工についてはDTFプリントが小ロット制作の悩みを解決する理由で詳しく紹介しています。
ブランドが成長して数量が増えたら、同じデザインのまま加工方法を切り替えることもできます。最初はDTF、定番化したらシルクスクリーン、といった具合です。切り替えのタイミングは、見積もりを比べながら工場と相談するのがいちばん確実です。
サンプルで必ず確かめる
ボディも加工も、最終的には実物で確認してください。画面で見る色と、実際の生地に載った色は、思った以上に違うことがあります。
サンプルを作らずに本番を発注し、届いてから「色が暗い」「思ったより薄い生地だった」と気づくのは、立ち上げでもっとも避けたい失敗です。1枚だけ試作して、着てみて、洗ってみる。そこまで確かめてから本番に進むと安心です。
最初のアイテムはどう決める?
最初は1〜2アイテム、カラーも2色程度に絞ります。定番のTシャツから始め、反応を見て広げていくのが失敗の少ない進め方です。
1〜2アイテムに絞る
最初からTシャツ、パーカー、キャップ、トートバッグと並べたくなる気持ちはよくわかります。けれど、アイテムが増えるほど、準備も管理も大変になります。
まずは看板になる1アイテムに集中して、デザインと品質の完成度を上げる。「このブランドといえばこれ」と言える1枚があると、2つ目以降のアイテムも広げやすくなります。
定番のTシャツから始める理由
Tシャツは、サイズの選びやすさ、価格の手ごろさ、季節を問わない使いやすさで、最初のアイテムに向いています。
パーカーやスウェットは単価が上がるぶん、原価も上がります。秋冬に向けて出すなら、Tシャツで反応を確かめたうえで、2つ目のアイテムとして追加するのがおすすめです。
カラーとサイズは絞って始める
カラーは2色程度、サイズは売れ筋のM・Lを中心に。受注生産ならサイズを広げても在庫は残りませんが、サイズ表の作成や問い合わせ対応の手間は増えます。
最初の販売で「XLもほしい」という声が多ければ、次の回で追加すればいい。お客様の声を聞きながら広げていくのも、小ロットならではの楽しさです。
在庫を抱えずに販売するには?
受注生産で販売を始め、売れ筋が見えたものだけ在庫を持つ形が、もっともリスクの小さい方法です。発送の手間も含めて、販売の流れを先に設計しておきます。
まずは受注生産で売ってみる
受付期間を決めて注文を集め、締切後に必要な数だけ作る。これなら、立ち上げの段階で在庫を抱えることはありません。受付から発送までの流れは受注生産の流れとスケジュールで解説しています。
受付期間中の注文数は、そのまま「どれくらい求められているか」のデータになります。カラー別、サイズ別の数字は、次の企画の大事な判断材料です。
売れ筋だけ在庫を持つ
受注生産を何回か続けると、毎回よく売れる定番が見えてきます。そこで初めて、定番だけを在庫として持ち、すぐ発送できる状態にする。
在庫を持つのは「売れるとわかったもの」だけ。この順番を守れば、倉庫が売れ残りで埋まることはありません。
発送の手間も計画に入れる
ブランドの規模が大きくなると、発送作業がいちばんの負担になります。1件ずつ梱包して、宛名を書いて、発送する。注文が100件を超えると、週末がまるごとつぶれることもあります。
製造から発送まで工場に任せられると、デザインや発信に時間を使えます。立ち上げの段階から、「発送をどうするか」を考えておくと、成長の途中でつまずきにくくなります。
まとめ|小さく始めて、売れたものから育てる
アパレルブランドは、既製のボディにプリントや刺繍を施す方法なら、小ロットで始められます。受注生産と組み合わせれば、在庫を抱えずにスタートすることも可能です。
コンセプトと価格帯を先に決め、ボディと加工はサンプルで確かめる。最初は1〜2アイテムに絞り、売れ筋が見えてから在庫を持つ。この順番で進めれば、立ち上げの失敗は小さく抑えられます。
ブランドのベースになるボディは、商品カタログで Printstar glimmer・United Athle・LIFEMAX・TRUSS の各カタログから比べられます。候補を2〜3点に絞ったら、加工方法や数量の相談はお問い合わせからどうぞ。「まずは情報収集がしたい」も選べます(2営業日以内に返信)。
