刺繍には、プリントにはない特別感があります。糸の光沢、ふっくらとした立体感、手に取ったときのしっかりした存在感。
「ブランドのキャップに刺繍を入れたい」「限定アイテムだけ刺繍にしたい」。そう思っても、刺繍はまとまった数でないと頼めないのでは、と迷う方も少なくありません。
実は、刺繍は小ロットでも依頼できる加工です。版を作るのではなく、デザインを刺繍データにして機械で縫うため、少ない数量でも対応しやすいのが特徴です。
この記事では、キャップ・ワッペン・ウェアのアイテム別に、小ロットで刺繍を頼むときの進め方をまとめました。受注生産や限定アイテムで刺繍を活かすコツも紹介します。
刺繍は小ロットでも頼める?
頼めます。刺繍はデザインを刺繍データにして機械で縫う加工なので、数枚からでも対応しやすい方法です。ただし最初に刺繍データを作る費用がかかるため、少ない数量ほど1枚あたりの負担は大きくなります。
刺繍データがあれば少量でも縫える
刺繍は、デザインを「どこに、どの色の糸で、どう縫うか」という刺繍データに変換してから、刺繍機で縫っていきます。
データさえできていれば、1枚でも10枚でも同じように縫えます。シルクスクリーンのように色ごとに版を作る必要はありません。
そのため、小ロットやアイテムの追加にも対応しやすいのが刺繍の強みです。刺繍そのものの魅力はブランド価値を高める刺繍の魅力で詳しく紹介しています。
最初のデータ作成費は考えておく
刺繍データを作る費用は、数量に関係なく最初にかかります。10枚なら10枚で、50枚なら50枚で割ることになるので、少ない数量ほど1枚あたりの負担が重くなります。
一方で、同じデータは2回目以降も使えます。受注生産で繰り返し作るなら、データ作成費は初回だけ、という考え方ができます。
費用の決まり方をもう少し詳しく知りたい方は、刺繍の針数や色数の考え方も確認しておくと安心です。見積もりを依頼するときに、ロゴのサイズと色数を伝えるだけで、話がぐっと早くなります。
プリントとどちらにするか迷ったら
刺繍とプリントのどちらにするかは、デザインと用途で決めます。
- 刺繍が向いている ロゴや文字などシンプルなデザイン、高級感を出したいもの、長く使うもの
- プリントが向いている 写真やグラデーション、大きな面積のデザイン、細かい線が多いもの
胸元のワンポイントは刺繍、背中の大きなイラストはプリント、という組み合わせもよく選ばれます。
キャップに刺繍を入れるときは?
キャップは刺繍と相性のいいアイテムで、小ロットでも作りやすい定番です。正面のパネルに入れるのが基本で、キャップの形や素材によって入れられるサイズが変わります。
キャップは刺繍の定番アイテム
キャップは、プリントよりも刺繍が選ばれることの多いアイテムです。立体的な曲面にもなじみやすく、ロゴがくっきり映えます。
アパレルブランドのグッズ、チームの応援キャップ、スタッフ用のユニフォームなど、用途も幅広い。少ない数から作れて、単価のわりに特別感が出しやすいので、小ロットの限定アイテムにも向いています。限定アイテムの売り方は限定グッズのドロップ販売とはで紹介しています。
入れる位置とサイズを決める
キャップの刺繍は、正面のパネルに入れるのが基本です。側面や後ろのアジャスター付近に小さく入れる方法もあります。
正面は縫い目をまたぐ形になるキャップもあり、入れられるサイズには限りがあります。平面のデータのまま大きく入れようとすると、曲面で文字がゆがんだり、縫い目にかかって読みにくくなったりします。キャップの形に合わせて、サイズを調整してもらうのが安心です。
ボディの形と素材も選ぶ
キャップには、前面が高くしっかりした形、浅くやわらかい形など、いくつかのタイプがあります。形によって刺繍の見え方も変わるため、ブランドの雰囲気に合うものを選びます。
素材はコットンのツイルが定番で、刺繍がきれいに映えます。メッシュ素材のキャップは、前面のパネル部分に刺繍を入れる形が一般的です。
ボディのカラーと糸の色の組み合わせも、仕上がりの印象を大きく左右します。黒のキャップに白い糸はくっきり、ベージュのキャップに同系色の糸は控えめで上品に。限定カラーを作るなら、ボディと糸の組み合わせを変えるだけでも十分に特別感が出せます。
ワッペンで刺繍を取り入れるには?
ワッペンは、刺繍を別に作っておき、あとからウェアやバッグに付ける方法です。直接刺繍しにくいアイテムにも使え、同じワッペンを複数のアイテムに展開できます。
ワッペンなら後付けで使い回せる
ワッペンは、刺繍を土台の生地に縫って形に切り抜いたパーツです。アイロンで接着するタイプや、縫い付けるタイプがあります。
いちばんの利点は、同じワッペンをいろいろなアイテムに付けられること。Tシャツ、パーカー、トートバッグ、キャップ。アイテムごとに刺繍データを調整する必要がありません。
直接刺繍を入れにくい厚手の生地や、形の複雑なアイテムにも使えます。
限定アイテムやグッズとしても人気
ワッペンは、それ自体がグッズとしても人気があります。推し活のバッグに付ける、ユニフォームに好きなワッペンを足す。ファンが自分でカスタマイズする楽しさがあります。
受注生産の特典として付ける、限定カラーのワッペンを作る、といった使い方もできます。単価が比較的おさえやすいので、小ロットでも企画に取り入れやすいアイテムです。
スポーツチームなら、大会ごとに記念のワッペンを作って、同じユニフォームに付け足していく楽しみ方もあります。ウェアを買い替えなくても、ワッペンで思い出を積み重ねていけるのが魅力です。
形と大きさの決め方
ワッペンは、丸や四角だけでなく、デザインの輪郭に沿った形にも切り抜けます。ただ、細かすぎる突起があると、ほつれやすくなったり、付けたときにめくれやすくなったりします。
大きさは、付けたいアイテムの面積から決めます。胸元なら小さめ、バッグの正面なら大きめ。
ウェアに刺繍を入れるときのポイントは?
ウェアの刺繍は、胸元のワンポイントが定番です。生地の厚みや伸縮性によって仕上がりが変わるため、ボディ選びと刺繍の相性を確認しておきます。
胸元のワンポイントが基本
ポロシャツやシャツ、スウェット、ジャケットの胸元にロゴを入れる。これがウェアへの刺繍のもっとも定番の形です。
ワンポイントなら縫う面積が小さく、費用も抑えやすくなります。企業のユニフォームやスタッフウェアでもよく選ばれる方法です。クリニックのスクラブへの刺繍の例はクリニックの白衣・スクラブ刺繍でも紹介しています。
生地との相性を確認する
刺繍は、しっかりした生地ほどきれいに仕上がります。ポロシャツの鹿の子やスウェットの裏毛は、刺繍と相性のいい生地です。ポロシャツの素材の違いはポロシャツ素材の徹底解説にまとめています。
反対に、薄手のTシャツや伸びやすい生地は、刺繍の重さで生地が引きつれることがあります。こうした場合は、裏に芯を当てたり、刺繍の密度を調整したりして対応します。
立体刺繍やサガラ刺繍で差をつける
限定アイテムで特別感を出したいなら、刺繍の種類を変える方法もあります。
ふっくらと盛り上がる立体刺繍、タオルのようなループ状の質感が出るサガラ刺繍。同じロゴでも、表情がまったく変わります。詳しくはサガラ刺繍・特殊加工の世界で紹介しています。
小ロットで費用を抑えるコツは?
刺繍データを複数のアイテムで共通にし、サイズと色数を絞るのがいちばんの近道です。受注生産で繰り返し作るなら、データを保管しておくことで2回目以降の費用も下がります。
1つのデータを複数のアイテムに使う
同じサイズのロゴなら、キャップにもポロシャツにもトートバッグにも、同じ刺繍データを使える場合があります。
アイテムごとにサイズを変えるとデータも別に必要になるので、できるだけ同じサイズでそろえると費用を抑えられます。
ロゴのデザインを決める段階で、「キャップにも胸元にも入るサイズ」を意識しておくと、あとから展開しやすくなります。細すぎる線や小さすぎる文字は刺繍でつぶれやすいので、データ化の前に工場へ確認しておくと安心です。
サイズと色数を絞る
刺繍の費用は、縫う面積(針数)と糸の色数で変わります。大きく、色数の多いデザインほど、縫う時間がかかります。
ロゴを少し小さくする、色数を3色から2色に減らす。こうした調整だけでも、1枚あたりの費用は変わってきます。デザインの印象を大きく変えない範囲で、工場と相談しながら調整してみてください。
データを保管して繰り返し使う
受注生産や定番アイテムのように、同じ刺繍を何度も作る場合は、刺繍データを工場で保管してもらえるか確認しておきましょう。
2回目以降はデータ作成費がかからず、仕上がりも前回と同じ品質で再現できます。BESTPLAYでは加工データを自社システムで保管し、追加生産の際にそのまま使えるようにしています。
まとめ|刺繍は「データを作れば少量でも」頼める
刺繍は、デザインを刺繍データにして機械で縫う加工なので、小ロットでも依頼できます。最初のデータ作成費はかかりますが、同じデータを繰り返し使えるのが大きな利点です。
キャップは正面のワンポイント、ワッペンは後付けで複数アイテムに展開、ウェアは胸元のロゴが定番。データを共通にして、サイズと色数を絞ることで、少ない数量でも費用を抑えられます。
BESTPLAYでは京都の自社工場で刺繍加工に対応しています。刺繍を含む加工ごとの特徴や設備は対応可能加工で確認できます。「このロゴは刺繍に向いている?」という段階でも、お問い合わせで「〇〇の加工について相談したい」を選んでご相談ください(2営業日以内に返信)。
