「今年こそオリジナルグッズを作りたい」と考えているなら、2026年の市場トレンドは把握しておきたいところ。推し活市場の急拡大からサステナブル素材の台頭、AI活用による発注プロセスの変化まで、グッズ制作をめぐる環境はここ数年で大きく動いています。
この記事では、オリジナルグッズ・マーキング加工業界で今起きている5つの主要トレンドを整理しました。個人クリエイターからイベント主催者、企業のノベルティ担当まで、「次の一手」を考えるヒントになるはずです。
トレンド① 推し活市場が4兆円規模に|ファンダムが「つくる」を変える
2026年、推し活市場は4兆円規模に達する見通しです。野村総合研究所の推計によれば、推し活の経済圏は2025年時点で約3.8兆円。国民の3割以上が何らかの「推し」を持ち、消費を続けています。

「買う」から「つくる」へシフトするファン心理
ここ数年で注目すべき変化は、ファンの消費行動が「公式グッズを買う」だけでなく「自分だけのオリジナルグッズをつくる」方向に広がっていること。推し活自主消費(自分で制作するグッズへの支出)だけで約1兆円規模ともいわれ、BOOTHや同人イベントでの個人グッズ販売も活発化しています。
オリジナルグッズ業界への影響
この流れはグッズ制作業界に直接追い風になっています。1個からオリジナルグッズを作れるサービスへの需要は明らかに増加しており、推し活層が新しい顧客セグメントとして定着しつつあります。ファンが「自分のデザインで推しグッズを作りたい」と思ったときに、すぐに応えられる体制があるかどうかが業界のカギになりそうです。
トレンド② サステナブル素材の台頭|エコ×グッズという選択肢
環境配慮への意識は、オリジナルグッズの世界にも確実に波及しています。オーガニックコットンやリサイクルポリエステルを使ったアパレルアイテムの採用が、ここ1〜2年で急速に広がっているのが実感です。

企業ノベルティで「エコ素材」が標準化しつつある
企業が展示会やイベントで配るノベルティグッズは、環境配慮が当たり前のチェック項目になりつつあります。「サステナブルな素材で作れますか?」という問い合わせは体感で明らかに増えていて、GOTS(Global Organic Textile Standard)認証のTシャツやトートバッグを指定するケースも珍しくなくなりました。
品質と両立できるエコ素材が増えた
以前は「エコ素材=品質がいまいち」というイメージがありましたが、今はそうでもない。オーガニックコットンの肌触りや耐久性は通常のコットンと遜色ないし、リサイクルポリエステルも発色の良さで昇華プリントとの相性が良い。素材の選択肢が増えたことで、トートバッグの素材選びやTシャツの生地選びにおいても、エコ素材を前向きに検討できるようになっています。
トレンド③ 小ロット・オンデマンド化の加速|そして「安さ」より「品質」の時代へ
格安のオンデマンド印刷サービスが増えたことで、オリジナルプリントや自社グッズ、ノベルティ制作のハードルはかなり下がりました。小ロット・オンデマンドはもはやトレンドではなく「当たり前」になりつつあります。背景にあるのは、DTF(ダイレクトトゥフィルム)やDTG(ダイレクトトゥガーメント)といったデジタルプリント技術の進化と、在庫リスクを避けたい個人クリエイター・中小企業のニーズの高まりです。

「版」がいらない時代のインパクト
シルクスクリーンのように版を作る必要がないデジタルプリントは、1枚から写真品質のフルカラー印刷ができます。DTFプリントが小ロット制作の悩みを解決する理由でも解説していますが、「まず10枚だけ試してみたい」「イベントで限定30個だけ販売したい」といった需要に低コストで応えられるのが最大の強み。BASEやShopify、BOOTHなどと連携した「注文が入ってから印刷する」オンデマンド販売モデルも、個人クリエイターを中心に定着しています。
「安い・早い・小ロット」の先にあるもの
ただし、2026年に入って明確に感じる変化がもうひとつあります。以前は「安く大量に」が基本だったグッズ制作が、「ロット数は少なくても品質の良いものを」という方向へ確実にシフトしているということ。
理由のひとつはサステナブル意識。でもそれだけではありません。私たちの身の回りのプロダクトのクオリティが全体的に底上げされた結果、ペラペラのTシャツや雑なプリントのグッズに対して「これはちょっと…」と感じる人が増えているんですよね。アーティストやアイドルの公式グッズも、ひとつひとつの素材感・印刷品質・パッケージングが年々レベルアップしていて、受け取る側の目も肥えてきています。
「安い=お得」ではなく「安っぽい=ブランド毀損」と受け取られるリスクが出てきているのが2026年の空気感です。小ロット・短納期・低コストは「前提条件」になり、その上で多少コストが上がっても、素材の厚み・プリントの発色・仕上がりの丁寧さにこだわる層が目に見えて増えているのが実態。企業ノベルティでも、イベント物販でも、個人クリエイターの頒布物でも、「質で選ぶ」流れは2026年以降ますます加速するでしょう。
オリジナルグッズ業界でDXはどこまで進んでいる?
DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉は製造業全体で聞かれますが、オリジナルグッズ・マーキング加工業界も例外ではありません。特に注目すべきは「発注プロセスのデジタル化」と「AI×デザイン」の2つです。
見積もり・入稿・校正がオンラインで完結
従来のグッズ制作では、メールや電話で何往復もやりとりして見積もりを取り、デザインデータをUSBメモリで渡す…という流れも珍しくなかった。2026年時点では、Web上で見積もりシミュレーション→データ入稿→校正確認→発注までワンストップで完結するサービスが増えています。入稿データの作り方ガイドで解説しているような入稿ルールさえ押さえれば、初めてでもスムーズに進められる環境が整ってきました。
AIデザインツールの台頭と著作権の課題
生成AIを使ってデザイン案をつくり、そのままオリジナルグッズにするという流れも広がっています。テキストからイラストを生成したり、既存のデザインをリミックスしたり。ただし、AIで生成したデザインの著作権については業界でまだ議論が続いているのが現状です。他者の著作物を学習データとして生成された画像をそのままグッズ化すると、著作権侵害のリスクがあるため、AI生成物を商用利用する場合は権利関係の確認が不可欠です。文化庁の著作権に関する情報も合わせてチェックしておくとよいでしょう。
トレンド⑤ インバウンド需要の拡大|海外ファンに届くグッズ制作
2026年、インバウンド観光客数は引き続き高水準で推移する見通しで、日本のポップカルチャーやスポーツイベントに合わせたオリジナルグッズの需要も伸びています。

「日本でしか買えない」特別感
海外のアニメ・マンガファンにとって、日本限定のオリジナルグッズは大きな魅力です。コミックマーケットをはじめとする同人イベントでは海外からの参加者が年々増加しており、イベント限定グッズへの購買意欲は非常に高い。英語での商品説明やキャッシュレス対応といった準備が、販売機会の拡大に直結します。
スポーツ×オリジナルグッズの可能性
スポーツチームのサポーターグッズやファンクラブ限定グッズも、インバウンド需要と相性がよい分野です。昇華プリントでプロ仕様のユニフォームを作ったり、応援グッズとしてタオルやTシャツを小ロットで制作したりと、スポーツ×グッズの掛け合わせは2026年の有望な市場テーマになりそうです。
BESTPLAY発注データで見る|人気グッズランキング
ここまでトレンドの話をしてきましたが、「実際にどんなグッズが選ばれているの?」が気になる方も多いのでは。BESTPLAPへの受注データから見える、王道商品と注目の新顔をランキング形式で紹介します。
王道商品 TOP5|安定の定番アイテム
| 順位 | アイテム | 特徴 |
|---|---|---|
| 1位 | Tシャツ(半袖) | 不動の王様。イベント物販・ノベルティ・チームウェアとあらゆる用途で需要が安定 |
| 2位 | トートバッグ | エコ意識の高まりで企業ノベルティの定番に。綿・キャンバスの厚手タイプが人気 |
| 3位 | アクリルキーホルダー | 推し活グッズの大定番。UV印刷で小ロット・フルカラー対応しやすい |
| 4位 | パーカー | 秋冬シーズンの主力。DTFプリントとの相性がよく、フルカラーデザインの注文が増加中 |
| 5位 | 缶バッジ | 低単価で大量に作れるため、イベント配布やファングッズのバリエーション展開に根強い人気 |
ニューフェイス TOP5|近年受注が急増しているアイテム
| 順位 | アイテム | なぜ増えている? |
|---|---|---|
| 1位 | アクリルスタンド | 推し活の象徴アイテム。「飾る」グッズとしての需要が爆発的に伸びている |
| 2位 | サコッシュ | イベント・フェスで両手が空くミニバッグとして人気急上昇。若年層に刺さっている |
| 3位 | マフラータオル | ライブ・スポーツ観戦の応援グッズとして定着。昇華プリントで全面フルカラーが主流に |
| 4位 | ぬいぐるみ服(ぬい服) | 推し活の新ジャンル。20cm前後のぬいぐるみに着せるミニ衣装の注文が急増中 |
| 5位 | クッションカバー | 昇華転写で写真品質のプリントが可能。推しの写真やイラストを大判で楽しめる |
王道商品は「Tシャツ・トートバッグ・アクキー」の3強が盤石。一方、ニューフェイスは推し活・ファンダム文化から生まれたアイテムが上位を占めています。特にアクリルスタンドとぬいぐるみ服は、2〜3年前にはほとんど注文がなかったアイテムで、ファンの「推しをカタチにしたい」ニーズがダイレクトに反映されている印象です。
まとめ
2026年のオリジナルグッズ市場を動かすトレンドを整理しました。
- 推し活市場4兆円規模に到達し、「自分でグッズをつくる」ファンが増加中
- サステナブル素材が企業ノベルティを中心に標準化しつつある
- 小ロット・オンデマンドは当たり前。その先にある「品質重視」への明確なシフトが起きている
- DX化で発注プロセスがオンライン完結。AIデザインの活用も広がるが著作権には注意
- インバウンド需要が日本限定グッズ・スポーツグッズの市場を押し上げる
- BESTPLAYの受注データでは、王道のTシャツ・トートバッグ・アクキーに加え、アクリルスタンド・ぬい服といった推し活発のニューフェイスが急伸中
これからグッズ制作を始める方にとっても、すでにグッズビジネスを展開している方にとっても、トレンドの把握は次の一手を決める材料になるはず。気になるプリント方式やアイテムがあれば、プリント手法の徹底比較ガイドもあわせてチェックしてみてください。
